公益社団法人日本青年会議所 北海道地区 西北海道ブロック協議会
2025年度会長所信
2025年度 会長 中西 良貴(一般社団法人 岩見沢青年会議所)
【はじめに】
北海道は、雄大な大地と豊かな自然環境に恵まれた地です。そこには、日本を支える一次産業の基盤である農業や漁業、酪農といった産業が根付き、生活に欠かせない食料資源を育んできました。また、豪雪のメガシティである札幌を中心とした都市圏の発展は、地域に経済的な活力をもたらすと同時に、北海道が観光資源としても注目される大きな要因となっています。「北海道」の名称が誕生した明治初期から現在に至るまで、その発展は約150年に及び、その間、昭和の高度成長期までのわずか100年ほどで人口が100倍に増加するという急成長を遂げました。この成長は、北海道の開拓精神と共に地域に根付いた人々の努力の賜物であり、まさに時代の変化とともに歩んだ北海道の歴史そのものと言えます。
こうした地域の発展とともに、北海道には多くの青年会議所(JC)が生まれ、地域の活力を支える原動力として長年にわたり活躍してきました。地域の若者たちが集い、志を共有し、地域課題の解決や社会貢献活動を行うことを目的として誕生したLOMは、地域の未来を形作る重要な存在です。しかし、かつて地域経済の中核を支えた石炭というエネルギー資源が1960年代のエネルギー転換によって急速に衰退すると、石炭産業の拠点だった地域はその影響を大きく受けました。この変化は、人口減少や地域経済の縮小を引き起こし、結果として各地のLOMにも会員数減少という形で影響が及ぶこととなりました。
現在、時代の変化や社会情勢の影響により、私たちは「時代のせいだ」と他責に生きるのか、それとも変化を恐れずに未来を築く覚悟を持つのかという選択を迫られています。私たちがここで挑戦する道を選ぶことで、地域や社会に対して何を提供できるのか、自分自身と向き合う時が来ているのです。また、2020年に発生した新型コロナウイルスの世界的なパンデミックは、地域のつながりや社会貢献の意義を改めて私たちに考えさせました。人との距離が物理的に隔たる中で、地域の団結や支え合いの大切さを再認識し、JCの果たすべき役割が浮き彫りになりました。しかし、コロナ禍以降、社会情勢が急激に変化し、価値観も多様化する中で、JCの「在り方」そのものが変わりつつあります。私たちは、かつて地域に貢献し、変革をもたらしてきた青年会議所の真の姿を取り戻し、社会にとって必要とされる存在であり続けたいと切に願っています。
かつてのJC運動が地域に及ぼしたような「確かな実感」を求め、地域が変わり、成長するその瞬間を再び体験するために、私たちは一丸となって挑む必要があるのです。
【すべてのLOMとともに】
2023年度にLOM支援委員会に出向した際、「JCやりたいけど、もうできない」、「JCに入りたいが、その地域にはJCがない」といった声を耳にしました。これは実際にあった話であり、私たちにとって衝撃的な現実を突きつけられる出来事でした。北海道においても、会員数やLOM数の減少といった問題は深刻であり、私たちが直面する現実の一つとして避けられない課題となっています。しかし、その一方で、地域に根差し、地域の発展を支えるために情熱を注ぐ仲間たちが各地に存在していることも事実です。彼らは決して簡単ではない課題に対し、忍耐強く向き合い、地域の未来を築くために活動しています。
地域における会員数の減少は表面的な問題であり、その背後には多様な原因が存在しています。この課題を解決するためには、表面的な対策だけでなく、その本質を深く理解し、根本的な原因にアプローチすることが不可欠です。私たちの先輩たちは、長い歴史の中で培った地域の知恵と経験を基に、各エリアの発展に貢献してきました。その貴重な経験と知識を昇華させたブロック協議会こそが、課題解決のための重要な支えであると確信しています。
すべてのLOMが自らの地域の持続的な発展に貢献できるよう、ブロック協議会がサポートに立ち上がり、より身近な存在として支援を行います。また、JCのネットワークを活用し、LOMが存在しない地域には、新たな設立を支援することで地域の空白を埋め、未来を見据えた持続可能なLOM開発にも取り組んでいきます。会員の拡大、運動の構築、人材の育成など、LOMが目指すゴールに向かって必要な施策を随時講じ、私たちが共に歩む存在であることを実感していただける協議会を目指していきます。約70年続くJCの灯を絶やすことなく、次の世代へと引き継ぐことが私たちの使命であり、そのために一歩一歩進んでいく覚悟を持ち続けなければなりません。
【JAYCEEの矜持を】
新型コロナウイルスの影響により、私たちは大きな価値観の変化を経験し、かつてないほどの経験不足に直面しています。オンライン化が急速に進んだことで、学びの機会は増えたものの、実際の行動や経験の機会は減少し、社会全体として実践の場が少なくなってしまいました。青年会議所でも同様の状況が見られ、特に西北海道ブロック協議会内では、入会3年未満の会員の多くが組織の中核を担わざるを得ないケースが増えています。これは、組織としての成長を図る上で非常に大きな課題であり、会員の入れ替わりとともに新しい人財育成の必要性が増している現状です。
こうした状況下であっても、私たちはJCの本質を見失うことなく、地域のリーダーとしての矜持を持ち続け、課題解決に向き合う姿勢を貫かなければなりません。私たちJCの使命は、JCI Missionに謳われているように「社会に良い変化をもたらす青年リーダーの育成と成長の機会の提供」にあります。西北海道ブロック協議会では、この使命に基づき、地域の課題を見つけ、解決に向けて取り組む力を養う場を提供し続けていきます。LOMの発展のために、若い会員が自己の能力を発揮し、地域に貢献できるような人材育成の機会を創出し、私たちの運動の意義を再確認しながら未来へと繋げていきます。
【宝の地図を創ろう】
「あなたの町の良いところを挙げてください」と聞かれたら、あなたはどう答えるでしょうか。多くの人が「特に何もない」と感じているかもしれません。しかし、地域ごとに多様な個性があり、そこには未開拓の宝が眠っています。それを見つけ出し、新たな価値として活用することで、地域の魅力を引き出し、地域アイデンティティを再認識することが可能です。現在、北海道でも少子高齢化や都市部への一極集中が進み、地方経済の衰退が深刻化していますが、この厳しい現状を打開するためのヒントは、地域に埋もれた未開拓資源の中にあるのです。
地域資源の発掘と、それを新たな視点で捉え直すことで、地域社会に新たな価値を創出し、地域の経済的・文化的な活性化を目指すことが可能です。特にインバウンド経済の発展が都市部に集中しがちな状況で、地域が有する独自の文化や自然、歴史といった魅力を発信することは、地域と都市との経済格差を縮めるための一歩です。地域の「宝」を見出し、新しい視点と現代のニーズを組み合わせることで、地域の持続可能な発展に繋がる好循環を生み出しましょう。
【新しい文化を創る】
2023年度の日本JCによる協議会アップデートに基づき、2025年度から北海道地区協議会では新たに2つのブロック協議会が発足しました。新たな協議会ができるという事例は近年稀であり、まさに新しい歴史の1ページを刻もうとしている瞬間です。私自身も、地域への影響力を高め、北海道地区大会の運営に関わることで地域社会にインパクトを与えるその姿勢に心から魅了されました。この大きな挑戦を、すべてのLOMに実感してほしいと願う一方で、LOMの現状から主管立候補が難しいケースがあることも理解しています。そのために、ブロック協議会としてLOMに寄り添い、LOMが最大限の成果を上げられる第1回の西北海道ブロック大会の開催を通じて、地域社会にJCの意義を伝えていきます。西北海道ブロック大会では、LOMや市民の方々にJCが持つ存在意義と活動の重要性を広く伝え、一人ひとりが成長と発展の機会を実感できるような大会を目指します。
【より良い組織運営と刷新】
2025年度から導入される2ブロック制により、LOMにさらに密着したブロック協議会が生まれました。このブロック協議会は、すべてのLOMのために存在しており、会員にとっても成長の場であり、LOMの発展を支える重要な拠点となります。年齢・職業・性別を超えた多様な会員が集い、同じ目標に向かって努力することで、個々が成長し、地域社会に貢献する力を高めていくのです。
組織の運営を円滑に行い、継続的な成長を確保するためには、効率的な組織体制が欠かせません。会議の運営においては、資料の整備や時間厳守といった基礎的なルールの徹底が求められます。また、社会情勢の変化に伴い、公益法人として法令遵守が重要視されています。コンプライアンスチェックを確実に行い、地域社会への信頼を損なわないようにしながら、地域発展に貢献する持続可能な組織を目指します。
【結びに】
限りある人生の時間は、実は多くないものです。1日の時間はすべての人に平等に与えられており、私たちの人生もまた一度きりです。私には愛する家族があり、そして大切にしたい地域があります。あなたにも同じように、かけがえのない存在や愛する故郷があることでしょう。地域に根付き、地域と共に歩む私たちだからこそ、地域の変化を自らの手で起こし、地域と未来を創る覚悟を持つことができるのです。
自分たちが創り出す未来への確かな実感を持ち、JCが地域を変える力となり、大切な人たちの生活を豊かにする。その喜びを共に分かち合い、まだ見ぬ未来へ挑戦し続けることが、私たちの使命であります。
さあ、挑戦しよう、実感する未来へ、